野良コンポジション・コレクション

野良コンポジションが好きだ。

何を言っているのかわからないかもしれないが、その名の通り、野良のコンポジションが好きなのである。

コンポジションと聞くと、モンドリアンの作品や、図形がリズミカルに配置されているデザインなどを思い浮かべる場合が多いかと思う。大体それで合っている。私が好きなのは、それが野良でその辺に存在している状態である。

 

言葉で説明するのはなかなか難しいので、とりあえず以下の写真を見てほしい。

 

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複数枚のトタン板の組み合わせが、微妙な大きさのズレや色の違いによって、綺麗なコンポジションになっている。

トタンのコンポジションは個人的に定番である。好きな人も多いはずだ。こちらは淡い色でまとまっている点がかなりいい。

おそらくこのトタン板は、あえて異なる色や大きさを組み合わせたわけではなく、様々な過程を経てこの形になったのだと思う。意図的でなく、明確な製作者がいない状態に、私は野良という言葉を当てることにした。

 

野良コンポジションは、いたるところに存在している。

例えば、ある程度の広さがある駐車場などは、野良コンポジションが出現しやすい。駐車スペースの白線に、ひとつでも異なる要素が加わると、一気に野良コンポジションらしくなる。

 

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この写真の場合、もともとの白線もやや珍しい配置となっているが、そこに雨よけの影が覆い被さることで、独特のリズムが生じている。

光や影が影響するパターンに関しては、天候や時間帯、季節によって異なる表情を見せてくれる。偶然の出会いもまた、野良コンポジションの魅力である。

 

また、野良コンポジションは、必ずしも平面的であるとは限らない。

以下の例は、ミラーや反射材などが物理的にくくりつけられた電柱を、一定の角度から観察しなければ成立しないコンポジションである。

 

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細い針金が張り巡らされることで、緊張感と躍動感が共存している。この写真を撮った時はちょうど正面に光が当たってフラットな印象だったが、光の方向が変わると、また違う表情を見せてくれるはずだ。

 

最後にもう一枚、私が野良コンポジションを気にかけるきっかけとなった例を紹介する。

 

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言葉にするまでもなく、青のアクセントが素晴らしい。テープの剥がし跡を隠そうともしない、その潔さ。初めて目にした瞬間、あまりの美しさに感動したのを覚えている。

 

 

 

まだまだ紹介したい野良コンポジションは山ほどあるが、今日はここまで。

来週へつづく。